読書感想文 「ダークゾーン」

フジノシンは通勤電車の中でスマホをいじりながら考えていた。

電車に乗っている間ずっとSNSYouTubeを見たままでいいのかと。もっと有意義な時間の使い方があるんじゃないかと考え、フジノシンがたどり着いた答えは「読書をする」であった。

 

なにを隠そうフジノシン、高校の頃は同じテニス部の女子のUさんから「読書マン」というあだ名をつけられたこともある。なぜ「読書マン」なのかというと休み時間中に本ばかり読んでいたからだ。

 

本を読んでいるから「読書マン」とはあまりにもあだ名のつけ方が雑だろう。安直の極みか。メガネをかけてるやつに「メガネ」ってあだ名をつけるくらい雑だ。コンタクトをつけてるやつには「コンタクト」あるいは「ワンデイ」「ツーウィーク」というあだ名をつけるだろう。

 

ちなみにフジノシンというのも「読書マン」を命名しやがったUさんがつけたあだ名だ。俺のフルネームをあだ名にするという暴挙を働いてくれたが、なかなかこのあだ名は気に入っている。ただ「読書マン」だけは許さない。

 

まぁ俺のあだ名は置いておくとして、通勤電車の中では読書をすると決めた。本が好きだというのもあるが、つり革に掴まりながら片手に文庫本を読んでいると頭良さげに見えそうというのが1番の理由だ。同じ車両のリーマンや学生に「頭良さげマウント」を取ってやるのだ。

 

そうと決まれば早速ブックオフで面白そうな本を探す。そこで目に留まったのが貴志祐介のコーナーだった。貴志祐介は「悪の教典」や「鍵のかかった部屋」「新世界より」の作者だ。

俺は「新世界より」を読んでいるときに読書マンを命名されたので、ある意味思い入れの深い小説家だ。

 

貴志祐介の作品を読もうと決めて適当に「ダークゾーン  上巻」というタイトルの本を手に取る。帯には「盤上は現実。駒(クリーチャー)たちは幻想(ファンタジー)、敗北は死。悪魔の対局が幕を開ける」となんとも厨二心をくすぐられる文句が書いてある。あー、なんか遊戯王的なお話なのかな?と思い、裏のあらすじを見てみるとこんなことが書いてあった。

 

ー 「戦え。戦い続けろ」プロ将棋棋士の卵・塚田は、赤い異形の戦士と化して、闇の中で目覚めた。突如、謎の廃墟で開催される青い軍団との闘い。敵として生き返る「駒」、戦果に応じた強力化(パワーアップ)など、奇妙なルールのもとで続く七番勝負。頭脳戦、心理戦、そして奇襲戦。"軍艦島"で繰り広げられる地獄のバトル。圧巻の世界観で鬼才が贈る最強エンターテイメント! ー

 

 

 

 

 

 

 

 

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いや意味がわからん。2行目からすでに意味がわからん。ここまで混乱するあらすじを俺は他に知らない。

プロ将棋棋士の卵の塚田ってやつがいるんだな〜ってとこまでは理解できるよ。2行目で急に赤い異形の戦士になるんじゃないよ!将棋頑張れ!プロ将棋棋士と赤い異形の戦士は対極の存在だから。「プロ将棋棋士」の対義語は「赤い異形の戦士」だよ。

まだプロサッカー選手が赤い異形の戦士になるんだったらわかるよ。ただ、塚田お前は羽生善治藤井聡太が赤い異形の戦士になるのを見たことがあるか?ないだろ?それくらいプロ将棋棋士が赤い異形の戦士になるのはダメなんだよ。あとサッカー選手も異形の戦士なんかにはならねぇよ。

 

んで、突如として現れる青い軍団。これはもうサッカー日本代表のことでしょう。サムライブルーだよ。将棋棋士vsサッカー日本代表異種格闘技戦だ!軍艦島で熱湯風呂や箱の中身はなんでしょな的な七番勝負が繰り広げられるんだ!すごい!貴志祐介すごい!最強のエンターテイメントだ!

 

感動に打ちのめされた俺は即刻「ダークゾーン 上巻」を購入した。読み終わってすぐ下巻を購入するくらいに面白かったので、興味がある人は是非読んでみてください。

 

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ダークゾーン(上) (祥伝社文庫)

ダークゾーン(上) (祥伝社文庫)